trico!

ところで半月くらい前、渋谷のO-nestでflyrec & mao presents 「connect」という企画に行った。二つのインディーズ・レーベルが協力して、いくつかのユニットやバンドのライブをする、その第一弾らしかった。
お目当ては先日新譜が出たmasというバンドだった。ここのところ毎週水曜深夜に聞いている東京FMのWANTEDのパーソナリティの一人、大谷能生が参加していて、しかも 番組で何回も新曲を流されて思わず新譜を買ってしまったのだった。で、内容がとてもかっこよくて、とくに降神が参加した曲はかなりフリーなラップとサックスが相まって、何回も聴いてしまった。
で、そのmasが出ると言うことで足を運んだのがその企画。いったい何組目にでるのかわからないので、ほぼ最初から最後までいたのだが、六組くらいの出演者はどれもかっこよくて、飽きずに最後まで見れた。
だけど中でも心に来たのはtrico!というユニットだった。どうやら本来はソロで、アコーディオンやオルガン、トイピアノ、ピアニカなどをコンピューターと合わせて演奏するらしい。そこに、その日はパーカッションでイトケンが参加していた。
イトケンは、なんというか間違って迷い込んでしまった忍者か泥棒かという、渦巻き模様の可愛い風呂敷を広げて、そのうえにいくつもの小道具を並べていた。で、始まるとその小道具(ピンポン玉とか)をスピーカーの前で転がしたり、チンとかカンとか音を立てる。するとそれがその場で録音されてリピートされ、いつのまにか可愛いリズムができていた。trico!の方も、アコーディオンとかトイピアノをフレーズごとに演奏して、それも次々にリピートされ、重ねられていく。そうしたらいつのまにか豪華なオーケストラが出来ていた。そしてその優しげに重ねられた音のうえで、あらためてアコーディオンやパーカッションが演奏され、歌も歌われる。目の前であっという間に音楽ができてゆくのを見ているようで、それに重ねられたアコーディオンやオルガンのまったりした響きと独特のリズムと、ゆったりとした歌声を聴いているうちに、魔法にかかったようになってしまった(歌詞は、よく聴き取れなかったけどけっこう暗い内容のような気もした)。ものすごい高級な料理を味わったような爽快感で、とても素晴らしかった。他の人と組むときもあるらしくて、ぜひぜひまた見たい。
そのあと、最後にmasが出てきて、良かったんだけど、その時だけいきなり客が増えて、なんだか勿体ないような気もした。目当ては分かるけど、その前の人たちのもとても良かったのに。