その他2


 きのうのつづき。



 とりあえず、水道橋のフタリにいって、ピサロのその他のCDをみつけて試聴させてもらう。こんなことになるとは、おもってもみなかった。これまでとは、すこし聴き方がちがう。実際、すでにanother timbreなどで、ピサロからまなんだという人たちがCDを出しているのだが、それは、そうである理由がきちんとあるのではないか。きのう聴いた一枚の作品で、それくらい見方が変わりつつある。



 というわけで、いくつか試聴させてもらうと、その多くは、どちらかというとヴァンデルヴァイザーっぽい作風のものが多かった。ということは、やはりというかむしろ、昨日きいたCDが、ある意味でかなり特異なのだ。そうなのか。


 で、それとあわせて、すこしだけお話。とりあえず、おなじ作品のパーカッション演奏バージョンがあったので、それと絡めてギター版の方の話を聞く。
 とりあえず「あのCDはすっごい」「すんごい」「ヤバい」というような説明しかしなかったようなきもするが、とにかく表現してみた。なにしろ、ほかに説明の仕方がわからないのだからしょうがない。
 すると、どうやらレーベルは、いちど活動を停止したが、さいきん再開したかもということ。へー、と思ったら、さらにどうやらフタリにはまだブツの在庫があるらしかった・・・というか、「いっぱいある」と言われたんだけど、それはそれでどうなんだろうか・・・よくわからないが、とりあえず、そこにいけばあるということである。


 ただ1枚のCD、というか正確にはCD-Rである。それについての、そんなちょっとした話。とりあえず。




 とはいえ、正確には、まだ終わっていない。


 これから、お店でみつけてきた「harmony series 11-16」というCDを聴くことにする。すでにこれは、世界各地でひっそりとではあるけれど演奏されていて、その映像のいくつかはネット上にアップされていて見ることができる。これがどういうものなのか、それはまだこれからだ。
 それに、いずれにしても、作品がまだ流通しているのだから、個人がどうこうしてという問題は杞憂におわった。かもしれない。ただ、あらためてこれを通じて、作品の流通や、それへのアクセスについて、それなりにシリアスに感じられたのはひとつの経験だったと思う。
 前に読んだ本で、どこかのハスミさんというひとが、映画について、たしか「どこかの誰かに、有無をいわせず見せたい作品が存在する」ということを書いていたことがあって、それを読んだときはあまり実感がなかった。いまでも、かならずしも実感があるわけではないけれど、どうやら世の中には、そのような作品がある(かもしれない)ということは、ちょっとわかる。ような気がする。そして、こういう体験は、不意におとずれるらしいということも。
 こういう話は、いいかえれば、ディストリビューターや、レーベルのような話なのかもしれない(実際、ピサロの近年の作品は、さいきん新しく立ち上がったレーベルから出ている)。それは、そういうことをする動機や、実際にそれに手を付けるひとがいて、そしてその動機はどうやら一言では簡単に表現しえないようなものなのかもしれない。
 もちろん、ひとによっては「商売」というかもしれないが、どうにもそれだけでは片付けられない。上で「動機はどうやら一言では表現しえない」というのは、そういうことだ。これがどういうことか、わからないひとは、たぶんきっとすべての作品を、たんに「商品」としてだけ見ているのだろう。商品であることはそうなのだけど、でもそれは一側面である。
 とかいう話は、あまりにもやっかいだ。やっかいというより、めんどうすぎる。



 ともあれ、さしあたりこのCD-Rを、熱烈に評するのはいったんやめることにする。もうちょっと落ち着いて、いろいろ聴いてみたい。
 ただ、色んなひとに聴いてもらいたいような感じは、まだ少し残っている。もんだいは、そのものについて、いまいち表現できていないことである。
 どうなんだろう・・・たぶん、どこかあたらしいものがあるのだ。じつはそこである。一方で、これまで聴いてきたものと同じ基準で聴くこともできる。もしそうなら、きっとたくさんのCDのなかに埋没するだろう。ただ、どうもどこかちょっと違う・・・違うものがはいりこんでいる。しかも、なんというかそれは、ちょこっと根幹の部分なのだ。
 もうすこし正確にいえば、これまですでに同じ作家のCDを聴いたこともある。けれど、そうしたなかで、そのような部分がもっとも剥き出しになっているような、そういうところがあるのだ。
 でも、これをそのように表現することは、かなりむずかしい。というより、それ自体が問題である。なにかを「あたらしい」ということほど、新しくないことがあるだろうか。というより、多くの場合、それはまったくもって古いものばかりだ。それくらいはわかっている。
 だとすれば、どうすればいいのか。




 あるいは、ひとによっては、「オレはもうそういう、『音楽シーンの新/旧』みたいのはちょっと・・・」というひとも、いるはずである。あるいは、「そもそもべつに音楽を聴いてないし」というひともいるだろう。そういう場合、かなり困ったことである。なるほど実際、聴かなくてもいいのだ。それに、さいきん分かったのは、じぶんがオンガクを作る場合、たいていは他人のオンガクなど聴かないものである。それは端的に、邪魔なのだ。へんな価値観が入り込んできてしまうのだし。そんなことをして、「あたらしい」「ふるい」とかでいちいち騒がれても、単に面倒なだけである。こっちはこっちで、それなりにやることがあるのだ。
 で、つまり何をかいているかというと、そういうひとに、聴いてもらいたいということである。もうただそれに尽きる・・・どちらかというと変な先入観ぬきのほうがいい。というか、先入観があってもおそらく裏切られるだろうから、それはそれでもいいのだ。ただ、先入観があった方が、アクセスするのがめんどうになるだけだろうとは思う。



 はて、どうすればいいのか・・・。そろそろいいかげん面倒である。要するに、ちんたらやっていくだけしかないような気もしてきた。あと回しである。なので、とりあえずこのへんで一旦やめにしよう。
 




 いずれにせよ、じぶんはもうすこしこのCD-Rを聴くことにする。あとは、もうすこし理解を深めたい。その話をだれかに聞きにいくこともありだろう。たった一枚のCD-R。値段はなんと、千円である。すくなくともニポンではまだ現在、このCD-Rは流通している。
 そのまえに、つぎのCDを聴かなければならない。あとは、じぶんの作曲をすることにする。
 そういう意味で、とくに何も変わっていない。





 というわけで。
 つまるところ、
 つぎに
 つづく。