二月雑感(2)

●ふたたび、二月の雑感など。

●どうでもいいけど、基本的にここでは時事問題には触れていない。それは、一つには、それぞれのことについて意見を述べるほど知識がないという単純な理由にすぎない。(ちなみにだからといって、誰かに『発言を禁止しろ』という間接的なメッセージを送っているつもりもない。なんか、そういう風に受け取られがちな気もするけど。そこらへんは、個々人の判断だとおもう)。

 もうひとつは、ごく普通に、「誰もが政治的な発言をすること」と「誰もが政治的に『おなじ』発言をすること」とは、根本的に大きな違いがあると思っていて。そして、どうも日本語という言語の流通範囲内にいると、「誰もが発言する」ことよりも「誰もが同じことを発言する」という圧力が強いような気がする。それは、政治的な左右とか、そういうイデオロギーは関係のない問題として。個人的には、いわゆる「民主主義的」という状況は、後者ではなく、前者であると思っているけれども。
 けれど、日本語の流通の仕方は、誰かが何か「他人と同じでないこと」を発言すると、それを批判したり感情的に圧迫したりするようになっているらしい。それは、なんというか、とてもめんどくさい言語だなと思う。
 その場合、すでに流通していることについては、わざわざ同じ事を、あらためて付け加える必要性がないような気もするし、流通していないことについては、わざわざ書かずとも、個人的に考えていれば十分だし、意味無く感情論的にぶつかるのも面倒だと思っている。だから、そういうことをわざわざ書いたりしない。というか、単に面倒くさい(笑)。

 だから、これは政治的な発言ではなくて、もう思考を放棄した面倒くささの極限の放言というか感想だけど、さすがに一年おきに首相が入れ替わるのは、何かそれ自体が、やたらと面倒くさい事態だなと思う。だからといって、長期政権だからそれゆえに肯定するというわけでもない。
 ただ、いくらなんでも、1年足らずでは、それはもはや「政権」とすら呼べないのではないか。だって、政策立案して法案を議会に提出したら、それで交代しちゃうじゃん(笑)。法案通過して、制度設計して、人材を配置して、それで制度を動かして、そのあと調整する、と言うプロセスは、じゃあどうするの?(笑)。何が正しい方針で、何が間違っているのかを考えるための契機すら見つからない。

 あともうひとつ、前から思うけれど、よく「政治主導」「官僚主導」というコトバがあるけれど、これはきわめて抽象的な言葉遊びだと思う。だって、実際に制度設計をし、動かしているのは官僚であって、そしてそれは抽象的な存在ではなく、具体的な固有名詞と固有の思想をもった人物であるはずだ。だとしたら、政治家と官僚が一体になって行われている政策の、制度設計から実施においては、「政治主導」「官僚主導」ではなく、誰によって、誰の名の下で、誰のアイデアで動かされているのか、そこから見ないと、是非すら問えないと思う。それは、責任を問うとかいうことではなくて、どのようなアイデアから制度がつくられているかを理解するための、判断材料としてである。
 そんなことは、専門家ならみんな知っているよ、というかもしれないが、残念ながら僕は専門家ではない。そして新聞やニュースでは、政治家の名前しか出てこない。その政治家は、1年で交代してしまう。

 じゃあ、何を見ればいいの?そんなことを考えること自体が、すでにして面倒くさい。だから、時事問題については、単に面倒くさいから、ここでは書かない。
そんな二月。



●とりあえずそんなかんじで、いつもの話題(?)に戻ると。
 うーん、今月の予定としては、とにかく次の「実験音楽レクチャー」には行くつもりだけど(予約とかはしていないけど・・・というか、基本的に予約ということはいつもしないので)。
 その前日の23日に、bar issheeのライブに行こうかどうか、激しく迷う(笑)。いま休憩中なんで、あまりあちこちに行けないのです・・・すでに5日に吉祥寺に行ったこと自体、ちょいスケジュール違反なのだった(笑)。

 ただ、理解が正しければ、この方は、「生なんとか」の場にいた方で、そして記憶が正しければ年末の「ひとのおと」にもいらした。その方の発言について、個人的な意見はまとまっていないし、たぶん「ナマなんとか」についての意見はだいぶ違うのかもしれない。個人的には実験音楽は面白いと思うし、たしかにパッと聴いて理解するには間口が狭いのかもしれないけど、そういう音楽の掘り下げ方があることがおかしいとは思わないし、まして、どう考えてもヘンなことをしていそうだったら、それは単純に面白いと思うから。そういう点では、ひょっとしてこの方とは意見がちがうかも。
 でも、bar issheeのサイトを見ていたら、その方がそのときに発言していた「投げ銭制」を、どうもずっと実行しているらしい。だからというわけではないけれど、そういうことを真剣に考えている方で、そういう運営も考えている方なら、そこに行ってみたいなとおもう。「ナマなんとか」については、まあ、色んな意見があるかもしれないけど、分かったのは、あの場にいた人が、それぞれの形ではあるけれど、それぞれマジであることで、だったらそれはそれで、もうそろそろ良いんじゃないかと思っていて(笑)。
 むしろ、そこで何かを拾って、誰かが何かをやったり、何かをやっている誰かを知ったり、そういうことの方が良いと思う。「生なんとか」のつづきがあるなら、そういう形がいい。

 ただ、ちょっといきなり行くのはスケジュール的に無理かもしれないけど・・・・・・でも、その方にとっては前からやっていることだし関係がないのかもしれないけど、個人的には、そういう形の「つづき」があってもいい気がする。


●いや、それはちょっとカッコ良すぎるかも(笑)。そうじゃなくて、実は単純にSachiko Mの演奏を見に行きたいだけなのかも・・・最近、トーキョーにいると演奏を見る機会がないような気がする・・・ただそれだけかもしれない。

●うーん、ちなみに、だからといって、別にSさん(←これで表記いいんだろうか・・・さん付けが難しい)のファンというわけではないんですよね。そもそもファンとしてはニワカすぎるし、もっとハードコアな評論家の方もいる。ただ、なんだかスゴいことをやっているんじゃないかという気がしていて。どんなことしているのかなあ、と。

 というのは、このあいだの「水上コンサート」を見たときに、ちょっと1年前の「余韻ギグ」を思いだしていたんだけど。あれはやはりマジで凄かった。
 というか、やはり謎も多い(笑)。たとえばあのとき、ひょっとしてそもそも爆音ノイズのキッカケも大友さんなのかどうかも分かっていなくて。というのは、実は爆音の直前に、大友さんがいた近くの喫煙所にいたら、目の前をなぜかSさんが横切っていてですね、その直後にノイズが開始されたのを知っているんですね・・・・・・・だから、急いで最上階の部屋に戻ったんだけど、どうなってたの?というか、こういうの、誰に訊いたらいいんでしょう?(笑)

●しかも1年前の装置のときの展示もスゴいというか。別にこの展示にこだわっているわけじゃないんだけど、誰も語らないからこだわるような感じになるだけだけど。
 個人的にはあれは、CDウォークマン2台をビニールパックで梱包して、音をイヤフォンで流し、その音をビニールを通過させることで広げさせるもの。つまり、ウォークマンなのにそれ自体でスピーカー化させている作品だという理解なんですね。いいかえると、フツウは音が遮蔽されるのはダメなんだけど、むしろそれをひっくり返して、音を広げたり変えたりするように操作している。とりあえず、そういう理解。

 で、その問題は「余韻ギグ」にも繋がっていて。つまり室内にいると音が遮蔽されてしまうはずなんだけど、むしろデカいガラス壁にノイズを(外から)爆音で通過させて、それによって逆に室内を音で満たしてしまう。だから、部屋中、もうノイズがギンギンになっていて。しかも怖ろしいことに、それに合わせて即興演奏している。
 なんというかメチャクチャというか、もはやどこから音が聞こえているのか全く分からないのだが(サイン波は音の出所がわかりにくいし、ノイズは野外だし)、しかし確実にコミュニケーション的な即興ができていて、しかもそれが聴いたこともないような凄いノイズになっていて、しかも見たこともないフリー即興にもなっている。そんなことをしているんじゃないか。というか、どうなっていたんだ(笑)。

 で、これも誰に訊いたらいいのかわからない(笑)。たぶん絶対、ネットに載ってない。
 これは、もう単純に情報的に分からないのもそうだし、あと、どう理解して良いのかも分からない(笑)。理解、というのは、たとえば見えていないものと即興する、というのが、どうなっているのかというか、なんかほとんど演奏中に何も見ていないのではないかという感じもして、何かフツウに想像する即興とは全然違う風景がそこにあった気がするのだが・・・・・・だからどうなんだと言われれば、良く分からないんだけど。
 というか、つまり何も分からないわけだが。


 ちなみに、さらに何かとてもコワい(笑)・・・・・・そんなこと訊いて「なんか意味あるの」といわれたら、まあ、別に興味としかいえないし(笑)。とくに建設的な意見とか批判とかもなく・・・しかもファンかといえばそうではなく、ストーキングなマニアかといえばそういうわけでもないし、展示の全部を記録したいアーカイブ狂でもないし。ただの興味。
 
 うーむ、興味って、むずかしいですなあ(笑)。そう考えると、とくに訊く必要もない気がしたりして。じゃあ「最近何か面白いことありました?」とか話せばいいかというと(←ちなみにこれは僕の口癖みたいなもの)、別に友達でもないし(笑)。
 そして、これ、人見知りの典型なのだった・・・。あーあ、何かいつの間にか雑誌とか減ったなあ・・・・・・あー、filamentの去年末のロンドンライブは、frieze magazineのウェブサイトにレビューを見つけた。けど日本語のってないのね・・・人見知りには大変な時代だ(笑)。


●で、つまり何が言いたいかというと、とてもライブに行きたいのだけど、ちょっと忙しいので、行けなくてもゴメンナサイ。でも、近いうちに行ってみたいです。
 なんか、そういう「つづき」もあっても良いんじゃないかなと。色んな形の。いったい何の「つづき」なのかは、もうよくわかんないけど。



●そういう二月。でも、まだ二月は続くのだけど。


**