きっかけ

きっかけは単に音楽を聞きに行ったのだった。その日はたしか高円寺の円盤で飛頭のライブがあり、大友作品とどちらに行こうかと散々迷ったあげく、たまたま出くわした友人を半ば以上だまして連れて行った。僕はいつも常に現代美術に触れているわけでない。もう8年くらい前に学芸員の実習である現代美術館に行ったり、イギリスに作業のために行けばテイト・モダンに足を運んだり、グリーンバーグや何やらを読んだりもした。でもそれは最低限の水準であって、それほどギャラリーに行っているわけでもなく、現場感覚が欠如していることは否めない。だからそこに命がけの切迫感めいたものを感じたとしても、それは多くの作品を日常的に見ている人にとっては、あたりまえのことなのかもしれない。しかし個人的には、そこに命がけの何かを感じてたじろいだのだった。