P-HOUSE

あるのは、白い、ごく普通のギャラリースペース。「バニシング・ポイント」の数語が消えて「バ  ング  ント」。テーマは消失らしい。行ってみたら混んでいて、既に酩酊している人たちもいて、入るまでにすでに行列ができていた。並んでいるのを見て、もうそこに「事件」を見たのはいけないのだろうか。行く前から若干の情報を得ていたので、まずは数メートル四方の白い箱に直進し、そこの説明書きを読んだ。飴屋法水がそこに入っているらしかった。作家が持ち込んだものの羅列があり、ついで箱を見ると、誰かがドンドン叩いていて、それほど驚かずに僕もノックして、続くノックが返事なのか別の面で叩いているものか分からなかった。
それからギャラリースペースに行き、白い壁にかなり大きく、そして長く椹木野衣の文章があった。なぜかデビルマンの話で、いたずらっぽい挑発的な文章なのか、真摯なものなのか、わからずちょっと冷笑したような気がする。そしてかかっているヘッドフォンを取り、友人と二人で壁にところどころ空いたジャックに触れて、突然音が鳴ることに笑いながらびっくりした。大友良英による君が代を大胆に切り貼りした作品だという。正直、ここに君が代をもってくるのは浮いていると思った。このあたりまでは、実のところ久々のギャラリーを、単に楽しんでいたように思う。それからビールをもらい、すこし酔い、どんどん混んでくる人の顔をみて、有名人を捜したりしていた。めあては演奏なので、しばらくフラフラして、トイレに行ったりした。